第10回 日本語による神道文化入門講座 神道文化特別セミナー 「日本は森の国 ― 神々、自然そして生命」 |
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さる2006年9月7日、ISFニューヨーク・センターでは『日本は森の国 ― 神々、自然そして生命』と題する神道文化特別セミナーを開催した。同センターでは、昨年から日本語による神道文化入門講座を実施して、ニューヨーク在住の日本人間に好評を博しているが、今回は、第59回国連NGO世界総会におけるISF主催のワークショップで発表するためにニューヨークに出向中の薗田稔氏(京都大学名誉教授、秩父神社宮司、神道国際学会会長)と中野良子氏(オイスカ・インターナショナル総裁)をゲストスピーカーにお招きして、セミナーと銘打ったもの。 当日は、午後6時30分開講時には、すでにニューヨーク・センターの広間は50名を越える出席者で満員となった。 最初に、中野良子氏が講話。1961年に創設されたオイスカの45年にわたる国際的な幅広い活動を紹介した。オイスカとは、The Organization for Industrial, Spiritual and Cultural Advancement の英語の頭文字から付けられた団体名で、日本に本部を置き、26の国と地域に組織を持ち、農村開発や人材育成、環境保全、植林活動などを展開している国際NGO。団体名の示すように、「産業・精神・文化のバランスを世界に広める」ことを目的に活動を展開している。中野氏は、発展途上国での子供たちを主役にした植林運動や、「ふるさと」に根ざす教育事業の広がりについて語り、産土(うぶすな)を大切にする日本人の精神性を国際化することを訴えた。 つづいて、薗田稔氏は「森に生きる文化と神道」と題して、鎮守の森と水源を大切にする神社のありかたを、さまざまな文献資料を引用しながら解説し、神道の文化が世界平和と人類の福祉を増進するために役立つことを強調した。また、日本語の豊かな表現力を解き明かし、たとえば、神という言葉で表現されるのは「見えない存在」であり「形を見せない霊的な存在」であることを語り、聴衆の興味を引いた。さらに昨年、愛知県で開かれた「愛・地球博」で森をテーマに神道文化の粋を集めて、『天空鎮守の森』と『千年の森』を会場に設営し、同時にハイビジョン映像作品シリーズ『日本は森の国』を制作して、公開したことを紹介した。 このあと、上記のDVD映像作品『日本は森の国』五部作のうち、第一話と第二話が上映され、薗田氏の講話につながる情報が生き生きと鮮明な画像により伝わり、聴衆に感銘を与えた。 この日の出席者の中には、これまでの文化講座の常連のほかにも、コロンビア大学の東洋学部や宗教学部や中世日本研究所の教授の顔も見られた。講話と映像の後は、神道文化にちなんで、直会が開かれ、講師との会話が遅くまで弾んだ。 |
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★ 前回の入門講座の様子はこちらからどうぞ ★ |