第6回日本語による神道文化入門講座 

−神道と色−






    今回は、「神道と色」というテーマのもと、2006年3月31日(金)、20名という過去最高の参加者に恵まれ、盛況のうちに幕を閉じました。
    ISF 新渡戸涼恵オフィサーによる講義は、まず色という言葉の語源を明かすことから始まりました。そして、原始や古代に使われていた呪術としての色、古代人の色の感覚などに言及。さらに、聖徳太子の時代、冠位十二階にある色を使っての地位の表現、陰陽五行説と色、平安時代の十二単の色選び、江戸時代の豪華と華美を禁止されたなかから生まれた『粋』という色彩感覚にと、お話は展開しました。明治時代には、西洋化の影響を受け、照明が変わり、染料が変わって、色はさらなる進化を遂げていくことになります。こうした日本における色の歴史をふまえて、神道で使われているさまざまな色の意味が明らかにされました。また意外にも、明治時代までは喪服は白であったとのこと。「『赤』は火や太陽の色であるため、生命力をあらわし、だからこそ生まれたばかりの子供は「赤ちゃん」と呼ばれる」など、身近な事柄を例に取り上げながら、非常に分かりやすい説明に、参加者のみなさんはうなづきながら熱心にメモを取っていました。講義後の質疑応答では全員がいっせいに手をあげて時間が足らないほどでした。
    また、新渡戸オフィサー自身の作詞作曲による『伝承記』が要望を受けて披露される予定外のひとときがありました。「講義のなかでも説明されていた神道の精神がこの歌によって、より理解できた気がします」という趣旨の感想も多く、自然に講義の内容にふさわしい唄になっていたようです。
    一時間の講義の後、お菓子やおにぎり、飲み物を用意しての懇親会が行われましたが、全員の方が残ってくださり、新渡戸オフィサーに更に質問したり、歓談したり、楽しい時間を過ごされていました。多くの方が「また来ます」という言葉を残してお帰りになりました。
    前回の3倍以上という参加者を得て、ISFが地道に続けてきたこれまでの活動が実りつつあるように感じます。NYの日本人コミュニティのなかで、「神道を知るための貴重な場所」として、ISF NYセンターが少しずつ認知されてきているという印象を受けました。(文責 武井亜季子)

    神道文化入門講座は月に一度の開催を予定しています。ご希望の方はNYセンターまでお問い合わせ下さい。



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