「古事記」撰録1300年記念国際神道セミナー

semikojiki神道国際学会主催の神道セミナー「『古事記』撰録1300年記念国際神道セミナー」が、9月30日(日)13:30~17:00、東京のJR四ツ谷駅前の「スクワール麹町」(五階・芙蓉の間)で開催された。講演に引き続きパネルディスカッションが行なわれた。

講演者(敬称略)

  「日本における『古事記』の読まれ方」
(本澤雅史・皇學館大学文学部教授)
  「ドイツ語圏の日本研究と独訳『古事記』について」
(ミヒャエル・ヴァフトゥカ・テュービンゲン大学同志社日本語センター所長)
  「『古事記』における「女性的なるもの」」
(岩澤知子・麗澤大学外国語学部准教授)
  中国における『古事記』研究」
(劉岳兵・南開大学日本研究学院教授)
  パネルディスカッション コーディネーター
薗田稔・京都大学名誉教授(本会会長)
  総合司会
アレキサンダー・ベネット 関西大学准教授

国内外の『古事記』研究を探る 神道国際学会がセミナー

『古事記』撰録1300年を記念した国際神道セミナーが9月30日、東京・麹町のホテルで開かれた。NPO法人神道国際学会(会長=薗田稔京都大学名誉教授)の主催する第16回「神道セミナー」。テュービンゲン大学(ドイツ)同志社日本語センター所長のミヒャエル・ヴァフトゥカ氏が「ドイツ語圏の日本研究と独訳『古事記』について」、皇學館大学教授の本澤雅史氏が「日本における『古事記』の読まれ方」、麗澤大学准教授の岩澤知子氏が「『古事記』における[女性的なるもの]」、南開大学(中国)教授の劉岳兵氏が「中国における『古事記』研究について――周作人の漢訳『古事記』を中心に」と題してそれぞれ講話を行った。講話後は、会長の薗田氏をコーディネーターに質疑応答とディスカッションも展開された。
ヴァフトゥカ氏は『古事記』を独訳した先学に触れ、うち独語圏における最初の翻訳者であるカール・フローレンツは、神々の名称の語源的な解説にも踏み込んで日本神話を理解しようとしたと紹介した。本澤氏は、日本の歴史の中で『古事記』がどのように採り上げられ、読まれたかを通史的に概観し、とくに『古事記』の重要性を指摘した賀茂真淵、「神代を以って人事を知」ったという本居宣長などに視点を当てた。岩澤氏は「神話を研究することは、その民族の深層心理を読み解くことになる」として、秩序がコントロールして創造がなされる西洋的な思考に対比させて、日本神話における生命力の根源としての「ムス、なる」の思想や、女性・母性と死・闇の世界の結びつきからくる世界観に迫った。劉氏は、周作人を含めた中国における学者・文化人の『古事記』や日本文化に対する理解に関して、1920~30年代の「日中関係の変化にともなって、文化理解も変わっていった」と話し、学問が国際政治の状況に左右されるというジレンマにも触れた。(週刊RNS39号より転載)

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