神道国際学会会報:神道フォーラム掲載 |
第62回神宮式年遷宮「お木曳・一日神領民」 |
神道国際学会会員もハッピ姿でエンヤ 来年の御正宮棟持柱の奉曳まで 全国の「一日神領民」も三万五千人が参加 伊勢の神宮で平成25年に執行される第62回「式年遷宮」は、当年に向けて8年間にわたる諸祭・諸行事が続いている。うち、社殿造替のための御用材を神領民が神宮に曳き入れる「お木曳」行事が4月12日(内宮・川曳)、同13日(外宮・陸曳)の「御木曳初式」を皮切りに始まった。5、6月には全国からの一般人が「一日神領民」として奉曳団に加わった(外宮・陸曳のみ)。法被姿に木遣音頭も勇ましく奉曳車の綱を曳いた一日神領民は、およそ35000人にのぼった。来年も、内宮・外宮それぞれの御正宮の棟持柱奉曳(6月の予定)を中心に「お木曳」が奉仕される。 神道国際学会から八十人が 外宮・陸曳に参加 アメリカ人やロシア人も 4月12、13日の「御木曳初式」では主要部材を運び入れる「役木曳」が行なわれた。 神道国際学会では、外宮・陸曳で一番車を曳く外宮領・小川町奉曳団(橋本豊行団長)からの要請をうけ、全国に募集した結果、4月の役木曳きと5月の一般曳(本曳き)の2回に、およそ80人が参加し、伊勢市の宮川堤から外宮まで、市街1.8キロの道程を木遣りにあわせて奉曳した。5月6日の本曳きには、アメリカ人やロシア人のグループも加わった。 両回とも奉曳の前日には、小川町のハッピと鉢巻を身にまとって、古くからの慣わしにならい、神宮から10キロほど離れた二見浦の二見興玉神社(片岡照雄宮司)で浜参宮を行なった。沖合いの「神石」に生える無垢塩草の幣でお祓いを受け、お木曳に奉仕する心身を清めるとともに、塩草の御守りを授かった。また、4月には宿泊する宿での夕食前に、奉曳団長や同団青年部長らを招いて注意事項を聞き、木遣り囃子の予行練習を行なった(2回目の奉仕日は当日の進発前に練習)。 「エンヤ」の声も高らかに ゆっくりと、そして勇壮に 当日は、奉曳団と揃いのハッピと鉢巻に身を整えて早朝六時前には宮川堤に集合。すでに木ソリに載った御用材が、今や遅しと時刻を待ちかねている。 和紙のシデを束ねた采をもった橋本奉曳団団長により、20年に一度、奉曳団の団長だけが歌うことができるという水揚げ木遣りが始まる。さあ、いよいよ出番だ。一日神領民ならぬ一日小川町民の神道国際学会全員は、綱を持って緊張の面持ち。宮川の土手にしつらえられたどんでん場では御用材をシーソーのように揺らして水を切る勇壮な「どんでん返し」を三度、それが終わると、掛け声に合わせて、一気に土手を駆け下りた。 ひと息ついた後は、奉曳団の心づくしのおにぎりと味噌汁の朝食。その間も御用材と奉曳車を化粧する小川町の梃子衆は休む間もない。いつの間にか、一番木を曳く小川町の奉曳車の後ろには、二番木を曳く川崎連合、三番木の中島町がそれぞれに奉曳車の飾りつけをしている。 この日は、外宮のご正宮はじめ別宮の7本の役木が曳かれるのだが、それぞれご神木の飾りつけも20年前の経験者に聞きながらするのだからたいへんだ。大勢がその様子を見守りつつ今や遅しと出発を待った。 午前8時半、橋本団長の挨拶と乾杯のあと、奉曳車に繋がれた2本の綱にそれぞれ取りついた。奉曳団の子供衆による初々しい子供木遣を合図に、いよいよ進発だ。木遣音頭と「エンヤ、エンヤ」の掛け声も高らかに、力強くもゆっくりと曳き進んだ。奉曳車の車輪が「ワン鳴り」と呼ばれる「ブォー、ブォー」という独特の音を市街に轟かせると、沿道の人々も総出で御用材の進行を見守った。 前進とともに時折、勇壮な掛け声とともに2本の綱を激しくぶつけ合う「遊び」も入り、歓声が上がる。途中の三回の休憩には婦人部隊から飲物などの振る舞いがあり、その間、小川町とは兄弟のあいだがらでお木曳きを助け合う一之木町、船江町の木遣音頭が披露された。まさに伊勢市あげての大イベントである。 昼前後には外宮・北御門に到着。続いて二番車、三番車が到着すると、鳥居前でそろって祓いを受けた。その後、三台の奉曳車は、北白川道久・神宮大宮司以下、外宮神職らの迎えを受けながら静々と境内を進み、五丈殿前に無事、御用材を奉納した(神職出迎えは役木曳日のみ)。 その後、本会関係の参加者は御正宮に正式参拝するとともに神楽殿で御神楽を奉納し、悠久の歴史を持つ正遷宮の伝統行事に奉仕できた喜びを感謝し、今後の造替と祭・行事の安泰を祈念した。 来年はみんなで 棟持柱を曳こう! 昔、宮川で洪水がおこったとき、町をあげて御神木が流出するのを防いだことから、外宮の一番車を曳く名誉を持つ小川町。来年は最大の御木である外宮棟持柱を曳く。 神道国際学会では、小川町に協賛して、平成19年6月2日に行なわれる外宮棟持柱曳きの参加者を募集する予定。詳細は、神道フォーラムでお知らせするので、ぜひご参加ください。 |
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