神道国際学会会報:神道フォーラム掲載 |
宗際・学際・人際 松永国彦氏 / 松本岩雄氏 |
『日本は森の国』(DVD)を撮影・演出・制作した 松永国彦氏に聞く 対象の持つ意義を考え、ひたすらに撮る 好評のDVD『日本は森の國』 撮影・演出・制作を担当した松永国彦氏 平成17年の愛知万博にNPO法人・社叢学会が出展したハイビジョン映像『日本は森の國』(五話構成)。祭りや伝統祭祀、神事芸能など、森に生きる日本文化を照らし出し、その意義と価値を伝えるものとして好評を博した。 |
開館した島根県立古代出雲歴史博物館 松本岩雄・学芸部長に聞く 島根の歴史を全国へ―― 今に生きる古代出雲の精神と文化 「その息づかいを体感してほしい」 神話のふるさと、出雲に今春オープンした島根県立古代出雲歴史博物館は、質量とも充実の記念特別展「神々の至宝」(5月20日まで)を催し、開館1ヵ月足らずで入館5万人を突破するなど、話題性に溢れる。学術研究と展示を統括する松本岩雄・学芸部長に同館の理念、メッセージ、そして出雲の魅力を聞いた。 ◇ 博物館構想の以前から、島根の古代文化を活用するための委員会というのが県に設置され、3つの提言が平成元年度に出されていました。 1つは研究センターなど、調査研究の組織をしっかり作ること。2つ目は、研究だけでは県民や国民に受け入れられないから、見て理解してもらう。本県はもちろん、全国の人に島根の文化を見てもらう。そして3つ目は、それを踏まえて最終的に、恒常的に見てもらえるような施設を作るべき、ということです。 これらの提言が結果的に博物館の設置、その目指すところへとつながっているわけです。 《平成4年、研究機関として県古代文化センターが設けられた。考古学の常識を覆した荒神谷、加茂岩倉の両遺跡で調査に関わった松本氏は同センター長(平成19年3月まで)も兼任する。ただし、「研究センター」「博物館」の同時設置という所期構想は県財政の悪化で最終的に見送られた》 「研究センター」はスタッフがいれば既存施設を活用できるから、建物としてはいったん凍結しましょう、と。 でも、限られた財政の中ではあるけれど、大事なのは県として何をやるかです。島根が全国に向けてアピールできる一つの大きな要素は、やはり歴史文化なのです。島根ならではのことはキチンとやるべきだ、と。なんとか博物館の設置は了解をいただきました。 《規模的には色々縮減を図ることになった。博物館に殿堂イメージを持つ人からは「遠くから見ると工場みたい」などの声も聞こえる》 じつは、出雲大社の隣というこの場所で、場所に合ったどんな建物を建てるかというコンセプトを考えたとき、あの御本殿がある、いってみればここは聖地なのですね。ですから屋根も低くして、大社と共有する背後の北山山系など景観にも溶け込むようにしている。ガラスを大きく採用するのも大社の森を望むという配慮です。 《島根の誇る歴史遺産の一つ一つをここで細かく紹介する必要はないだろう。展示室は【特別展示室】、【神話回廊】、【総合展示室】島根の人々の生活と交流、【テーマ別展示室】「出雲大社と神々の国のまつり」「出雲国風土記の世界」「青銅器と金色の大刀」となっている》 物は非常にいいものがありますので、全国の方が見られても十分満足していただける展示だと自負しています。 入ってすぐ、中央ロビーにある「宇豆柱」。大社の境内から発掘された、3本の巨木を一つに結えたあの有名なもので、実物です。大社からお借りしているわけです。お参りの方がセットで見学に来ていただくことも多いようで、出雲大社や出雲の神話世界を理解するうえでも参考になるはずです。 《一貫して考古学を専門としてやってきた松本氏。島根に生まれ育った同氏が見る出雲文化の魅力とは何か》 大学時代に東京に出ましたが、帰ってきてずっとこういう仕事をやっていると、ある面で日本文化そのもの、考え方の源流みたいなものが出雲の古代文化にはあるという気がします。 例えば出雲大社では南北朝の頃に宮司家が二つに分かれてからも、ずっと交替で出雲大社の奉仕をやってこられた。他国の文化では、力のあるほうがいち早く相手を潰す、潰してしまわないと自分が何時やられるか分らない、それが当たり前ですよね。 日本は相対するものが並列してやっていける社会、維持できる社会だと思うのですが、出雲の国譲り神話にみられる敵対せず≠フ精神が根底にあって、今日まで引き継がれている、出雲には特にそれがよく残っている。 古代文化が色んな形で生きているところが出雲です。その息づかいを全国の皆さんにも是非、感じていただきたいと思います。 |
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