2007年4月14日(土)、アメリカの首都ワシントンDCで、日米協会主催の桜祭が開催され、インターナショナル・シントウ・ファウンデーション(ISF)はそのイベントに参加して、神道紹介に務めた。
祭りはポトマック河畔の満開の桜を背景に、多くの日本文化に携わる催し物で賑わい、日米友好と親善の証を華々しく象徴していた。
この桜は、明治時代の終わり頃に、当時の尾崎行雄東京市長がプレゼントしたもので、今では見渡す限りの桜並木に生長し、観光名所の一つになっている。
ISFのブース内では神道に関する文献やパンフレットを手に取ってもらえるよう並べて、希望する方には椅子に座ってもらいマンツーマンで神道を説明するコーナーを設けた。この個人への説明コーナーは好評で、多い時には一時間待ちの長蛇の列ができ、終了時間を越えてもなお、列が止まなかった。
「神道という言葉は知っていたがどのようなものか認識が無かった、説明を聞いて自分が求めているものだとわかった」という意見を、多くの方から頂いた。「人とは違う」と言うことを前提にしたアメリカの個人主義社会には、神道や多くの日本文化の根底にある生命観、調和、精神性が求められており、神道の祭りにみられる共同体が表す、「人と同じ」ということに対して理想を抱いているような感じを受けた。
シントウ・オープン・ハウスで日本文化の紹介
また翌15日(日)には、ワシントン市内のカルチャーセンターで「Shinto Open House」という、神道と日本文化を紹介するイベントを開催した。
まず太田垣による修祓の儀、元西宮神社巫女の山口真裕子氏による神楽奉納、そして日本の祭りの映像と厳粛な雰囲気で始められ、神道における重要な概念である「穢れ」「祝い」「感謝」を説明した。
参加者は初めて見る光景を不思議な眼差しで見つめていた。その後、神道と精神的結びつきの深い日本文化である武道、華道、茶道が紹介された。
メリーランドより来て頂いた武道の達人である新宅四郎氏とメラニー夫人は、武道における「気」は神道からきた重要な精神ということを説明し、心身の鍛錬、精神修養法の一環である凛としてかつ迫力のある武道パフォーマンスを披露し、参加者からは喝采が沸いた。
ついで、武井亜希子氏によって、華道、茶道の紹介がなされた。武井氏は、日本の華道には「天・地・人」の三要素のバランスが大切であり、その素朴性こそが美しさに繋がると説明した。また茶道では実演とともに参加者全員にお茶とお菓子が振舞われ、武井氏の和を感じさせるもてなしは会場の雰囲気を和やかにした。
質疑応答の時間には、「修祓の儀で使った棒(祓串)にはどんな意味があるのか」、「神職の英語での呼び名はどうして男性と女性とでは違うのか」、「神道は仏教も受け入れることができるのか」、「茶道では音を立ててもよいのか」など時間内にとても紹介しきれないほどの質問が集まり、神道と日本文化に対する関心の深さを窺い知ることができた。
イベントの最後は巫女経験のある山口氏による民謡「ソーラン節」で締めくくられた。山口氏はこれまでに民謡で多くの賞を受賞しており、力強く壮快な歌声でイベントは大盛況のうちに幕を閉じた。
この2日間に亘るイベントは、文化理解、文化交流を促進する手段の一つを学ぶ機会になった。多くの物事において多様な選択枠があるアメリカ社会では、「言葉」と「発信すること」に大きな意味を持つ。日本で美徳とされる「言わぬが花」、「お察しする」などはもはや国境を越えては通用しない。そして宗教が文化理解と交流を促進する鍵となると改めて実感した。 (ISF・NYセンター太田垣亘世)
※写真、今後の予定などは ISFホームページに掲載。
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