神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神道国際学会たより


梅田理事長 韓国・江原大学校で講演
「日本社会における神道の役割と現代的意義」

 韓国江原道春川市にある韓国国立江原大学校では創立60周年記念事業の一環として、人文科学関係の講演シリーズが開催され、その中で、梅田善美・神道国際学会理事長が、『日本社会における神道の役割と現代的意義』のタイトルで講演した。
   江原大学校は、教員数900名、学生数は24000名という韓国有数の重点大学である。今回の講演シリーズは、春川市のグローバル江原フォーラム(GGF)、江原大学校の人文大学と人文科学研究所の三者の共催で、広く異文化理解を深めるために開催されたもので、第1回は在韓国アルジェリア大使ラバ・ハディド氏の講演、2回目は琉球大学の石崎博志教授で、梅田理事長は三回目の講師として招かれた。
   4月10日、午後4時から始まった講演には、およそ80名の学部生、院生それに教員が聴講。理事長の原稿はあらかじめ韓国語に訳されて配布されていたうえ、司会にあたった人文大学の李喜馥教授が、専門の日本思想の観点から説明を加え、さらに、日本から赴任して三年という米田幸代招聘教授が、適宜に通訳を加えたため、熱心に聴講した学生たちの理解度は高まったようだ。
   理事長の講演は、神道の説明から始まって神道の歴史、カミがGODと訳されたことからくる誤解、さらに明治以後の国家神道の成立について説明を加え、数多くの海外神社の設立によって神道が植民地統治の方策として利用されたことに遺憾の意を表した上で、日本の伝統信仰である神道が現代の世界にどのような貢献ができるかを語った。あわせて講演の半ばで、梅田節子・神道国際学会事務局長が、パワーポイントによる映像を使用して、日本人の生活のなかに溶け込んでいる神道の役割を紹介した。
   学生からは、「神道には幾つの派があるのか」「神道は天皇をどう見ているのか」「神社本庁は国の機関か」などとかなりつっこんだ質問が出た。最後に、GGF会長で人文大学英語英文学科の白楽承教授が挨拶し、散会となった。
 この講演実現のため、仲介の労をとられた人文大学日本学科の黄昭淵教授は、2004年11月に中国浙江省の杭州市にある浙江工商大学で開催された国際シンポジウム『道教と日本文化』に発表者として参加した折りに、協賛者として参加していた梅田理事長と知り合いになった。そのときに「いつか韓国で神道の話ができたら」という理事長の希望に、「ではぜひ私の大学で」という黄教授の約束が、今回実現したもの。
  今回の講演開催に協力した日本学科の教授たちとの懇親会で、理事長は「韓国人には重いテーマである神道について若い世代の人たちにお話しできる機会が与えられたことに感謝している」と語り、神道国際学会との今後の協力を表明した。

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