神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
神道国際学会たより


南フランスで七五三と巫女舞の披露
神道国際学会が協力

 フランス国エクス・アン・プロバンス市で6・7月に開かれた日本を知る週間「日本の春(Le Printemps du Japon)」にちなんで、6月10日(日)にエクス市能協会主催による「七五三」が開催された。南フランス在住の日系人がかねてから要望していることを伝え聞いた神道国際学会はこの催しの実現に協力し、梅田節子事務局長と、事務局員の林原礼奈と松久英里子が渡仏した。
 会場となった狩野派能楽堂は、1994年に喜多流の能楽師・狩野丹秀氏がエクス市に建設・寄贈した総檜造りの本格的なもの。七五三は、6月10日の午前と午後の2回開かれ、梅田節子が斎主に、林原と松久が巫女役をつとめた。2回合わせておよそ150名のフランス人・日本人の参列者と見学者が、南仏初の七五三を真剣な目で見つめ、二拝二拍手一拝の拝礼には全員が参加した。
 前日の9日夜には、神道に関心をもつ日本人数名が梅田事務局長をたずね、平生から感じている神道や日本の宗教に関する質問をぶつけ合った。また、11日にはプリエール村「お祭り広場」で、ジャン・エカール小学校の全校生徒(約200名)と教師たちに巫女舞を披露。その後、小学生たちから日本に関する質問を受けたところ、装束や舞のことなどをはじめ、予定時間を越えるくらいの質問があいついだ。なかでも、歴史の教科の中で第二次世界大戦の部分を学んでいるという高学年の生徒からは、「日本は戦争でフランス側だったのか、ドイツ側か」「大戦での日本人の犠牲者の数は」といった質問があがり、回答にあたった梅田事務局長をタジタジとさせた。



伊勢の神宮 御棟持柱奉曳を応援
 ロシア人グループ18名も綱を引く

 6月2日(土)、伊勢市小川町の勢勇團による伊勢の神宮豊受大神宮(外宮)御正宮の御棟持柱の奉曳が行われ、神道国際学会は国際文化工房と協力し、約百名の応援団を結成して参加した。
 神道国際学会が小川町勢勇團を応援して御用材のお木曳きに参加するのは、昨年の4月・5月に引き続き3回目。前の2回にはアメリカ人やイギリス人が加わったが、今回は空路モスクワから参加したロシア人グループ18名も加わり、お木曳き車の綱を握った。
 参加者全員は、6月1日には二見興玉神社での浜参宮のあと御塩殿神社を参拝。懇親会を兼ねた夕食会では、勢勇團団長の橋本豊行氏から歓迎の挨拶をうけ、女性2人による木遣りの手ほどきを受けた。
 当日の早朝、一行はお木曳き車に乗せられた直径1メートル、長さ11メートル、重さおよそ4トンの巨大な御用材に目を見張ったが、いよいよ曳き出すと、外宮の山田工作場までの約3キロの道のりを、台車の『わん鳴り』とともに、木遣りを歌い、引き綱の寄せ合いに気勢を上げながらゆっくりと進んだ。その後、御正宮の御垣内参拝、御神楽奉奏ののち解散。棟持柱奉曳に参加したという栄誉を胸にそれぞれ帰路についた。
 後日、ロシア人グループからは「すばらしい行事に参加できてとても満足した。伊勢神宮という神聖な社の再建者の一人になり得たことで、日本の歴史に自分の名を刻んだ、という体験を誇りに思っている」とのコメントが届いた。



中国で論文コンテスト授賞式

 5月16日、梅田善美理事長と梅田節子事務局長は、浙江工商大学を訪問、「国家神道と海外神社」の題目で教職員と大学院生を対象とした記念講演の後、日本思想文化論文コンテストの授賞式に列席した。受賞者はこちらのページに掲載
 神道国際学会の後援で始められたこのコンテストも、今回で第8回を迎え、浙江工商大学の日本文化研究所所長で神道国際学会の理事をつとめる王勇教授によれば、年々質が高くなっているとのこと。神道国際学会理事会でも、すぐれた論文はぜひ日本語に訳して出版すべきだとの声があがっている。
 今回の審査員は、李卓教授(南開大学日本研究院院長)、崔广世教授(中国社会科学院日本研究所)、陳多友(広東外語外貿大学東方語言文化学院副院長兼日語系主任)、王勇教授(浙江工商大学日本文化研究所所長)、王宝平教授(浙江工商大学日本語言文化学院院長)の五氏。
 理事長と事務局長は18日には、浙江工商大学の日本学科の学生に講義をした。テーマは「日本は森の国」と「古事記から見た日本神話」で、学生たちからは活発な質問があいついだ。

「中世の神道」について国際シンポジウム
  米国ニューヨーク市コロンビア大学で

 4月26日から29日までの4日間、ニューヨーク市のコロンビア大学にて、日本宗教センター主催によるシンポジウム「中世神道」(Symposium on Medieval Shinto)が開催された。
 このシンポジウムは、神道国際学会理事のベルナール・フォール教授が中心となって開かれたもので、アメリカ、ヨーロッパ及び日本から参集した学者たちが、日本における中世の神仏関係に焦点を当てて研究発表した。
 テーマは「中世神道」ではあったが、仏教を専門研究分野にした学者の発表が多く、「中世神道」が仏教との関係性なしでは語れないほど、仏教が神道の存在を位置づけ、表現する重要な立場であったということを認識させられた。
 「神道」の概念は古代から現代まで様々な形で変容を遂げてきた。その神道の長い歴史の中でなぜ「中世」にスポットがあてられるのか。学者の方々のバラエティに富んだテーマの研究発表は、「中世神道」が、私達が現在触れている「神道」とは異なる文化であってそこには中世独自の論理があったこと、そして「中世神道」は現在の「神道」と比較するうえでも重要な思想であったことなど、私達に「神道」とは何かということを改めて考えさせる指針となる有意義なシンポジウムであった。 (報告=ISFニューヨークセンター太田垣亘世)


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