第17号 9月15日刊行 神道国際学会会報:神道フォーラム掲載

伝統をささえる

   本多製飴所 本多輝男さん
(東京都墨田区本所)

昔ながらの千歳飴、お届けします

 飴類や高級有平糖の製造・卸から店頭販売までを手掛ける。周辺に300以上あったという同業者も、昔風情にうるさい江戸下町ながら、めっきり減ってしまったが、ここでは「手作りの味」「昔からの味」を守り通している。
 「薬品のような香料を使ったものは作れない。抹茶飴なら抹茶、あんず飴ならあんずを入れる。見た目は黒ずんでいても、それが本物の味ですから」と製飴所を営む本多さんはこだわりを見せている。

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 神道国際学会がニューヨークで続けている「国際七五三」。そこで配る千歳飴の製造もお願いしている。最良の千歳飴は気温の低くなった時節に作るのが本流だそうで、「やわらかくて、なんともいえない甘い味が出る」
 「国際七五三」は日本より一足早くやるのと、搬入の都合で早めの納品をお願いしているので、残暑の時期の製造になってしまう。
 それでも「日本の七五三が少なくなって寂しい思いをしているので、盛り上げるために少しでもお手伝いできれば」。気温の変化を睨んでの微妙な判断で取り掛かってもらっているのだ。
 「国際七五三ができるのは、本多製飴さんのおかげ。本多さんが見つかるまではほんとに苦労しました」と神道国際学会の梅田事務局長。

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 高級和菓子の老舗へ製造・卸する割合が大きい。長年、御用聞きと配達にきめ細かに回り続け、信頼を得てきた。
 「千歳飴も昔はすごかった。どこでも近所付き合いがあったから、『あの家の子は今年、七五三か。お祝いしてやろう』となる。もらった家では御赤飯と千歳飴を和菓子屋で買って、お祝い返しをしたんですよ」
今は近所の横のつながりもなくなり、子どもの数自体、減ってしまった。

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 時世の流れが身に染みながらも何とか踏み止まろうと、需要発掘に工夫を重ねている。和菓子店を通すことが多いが、七五三行事に熱心な神社へ直接、千歳飴を届けることもある。
 子どもたちに伝統や本物の味に触れてもらおうと、「幼稚園七五三」を提案する。「千歳飴の袋に園児に絵を描かせる。そして中に本物の$迯ホ飴を入れてあげる」。この企画提案はなかなか好評らしい。
 「まあ、全体の需要を冷静にみれば、自分の子供に継がせようという商売ではないな。本物の飴の味を求める志向なんて今はありませんから」
ため息をつきながらも、「体が続く限りやっていきますよ」。自分の作る味に自信あってこその意気も感じた。


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