第17号 9月15日刊行 神道国際学会会報:神道フォーラム掲載

話題のこの人

京都・葵祭のヒロイン「斎王代」を母娘二代で務めた  
森川薫さん 香絵さん

「祭本来の願い、
 祭を支える人々の気持ちを 実感しました」(香絵さん)

 「多くの方々のお支えをいただき、大きなお役を果たすことができました」
 京都三大祭の一つ、葵祭(5月)。今年、ヒロイン「斎王代」(第52代)を無事に務めた香絵さん(26)は、祭を取り巻く人たちへの感謝の言葉を何度も口にした。
とくに「名誉なお務めを温かい笑顔で支えてもらい――」「お祭りを支えている人たちの気持ちが――」と、「支え」が心に染みたと繰り返した。
 「華やかななかに深い部分があって、五穀豊穣を願うという本来の目的や儀式は変わっていない。お祭りを支える気持ちが息づいているのを実感しました」

   ◇  ◇

 母の薫さん(58 )は40年前に「斎王代」(第12代)を務めている。母娘の二代で選ばれたのは二例目という。「まさか親子でさせていただくとは。でも、基本的に私のときと変わっていない。時を越えて不思議な気持ちになりましたが、それが伝統なのでしょうね」
 娘さん以上にハラハラだったのでは――。「英語教室で教えているので、大勢の前は慣れているみたいで。およよ(輿)に乗って巡幸したときも、『笑顔がよかった』と言っていただいて、ね」と香絵さんを見ながら目を細める。

   ◇  ◇

 平安から鎌倉までの約四百年、賀茂社に代々奉仕した斎王(いつきのひめみこ)。その代理となって葵祭(賀茂祭)に出仕する大役は終わったが、秋の重陽(ちょうよう)と烏相撲(からすずもう)、来春の曲水宴(きょくすいのえん)と、祭事参列の役目は続く。
 「今はまだバトンを持っている感じ。次の方にきちんと渡すために1年間、生活も正さないと」と香絵さんは表情を引き締める。そして「勉強させていただいたことをもとに、日本文化の良さや、変わらずに継承されてきたものの大切さをこれからは多くの人に伝えていきたい」と話した。
 香絵さんは京都生まれの京都在住。同志社大学法学部卒業後、関西学院大学大学院に進み、現在は英語教室の講師を務めている。


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