第18号 11月15日刊行 神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
インターナショナル・シントウ・ファウンデーション
ニューヨーク便り

同時多発テロから6年
 犠牲者の鎮魂と平和の祈り

 同時多発テロから6年目を迎えた9月11日、犠牲者を追悼するセレモニーがニューヨーク市グランド・ゼロ近くのハドソン川桟橋で行われた。主宰はNY本願寺、NY宗際センターが協賛して行なわれた式典には、犠牲者を悼む多くの人々が全世界から集まった。
 10を超える諸宗教の指導者による鎮魂、平和の祈り、アーティストによる楽器や歌の演奏が続くなか、在NY日本総領事の櫻井本篤氏は、この悲惨な出来事による尊い生命の損失に対し、改めて追悼の意を表明された。
 ISFからは神主である太田垣オフィサーが、追悼の思いと慰霊のスピーチをし、世界平和を祈念する神道の祝詞を奏上した。最後に犠牲者の霊を慰めるために灯篭がハドソン川に流された。

テキサスで地鎮祭
 日本企業の新工場建設

 10月1日、テキサス州ブライアン市で、東洋インキ・インターナショナル・コーポレーション(以下、東洋インキ)の地鎮祭が執り行われ、太田垣亘世オフィサーが斎主、林原礼奈が典儀をつとめた。
 地鎮祭には、東洋インキ日本本社及び米国各支社からの代表者、市長をはじめとするブライアン市の関係者、建設会社関係者など日米百名余りが参列、紅白幕が張られた賑々しい雰囲気のなかで、式は厳かに斎行された。
 この地鎮祭は、ISFにとっては、初めて東海岸を離れた遠方での祭儀となったが、テキサス州でも神道儀礼が執り行なわれた前例を知る人はなく、非常に珍しいと、地元のテレビや新聞が多数取材にきていた。
 現地の参列者からは、とても美しい儀礼だった、日本人の自然の神様に対する敬意はすばらしい、など神道に対し積極的な印象を持っていただけたようだった。また日本人の参列者からは、巫女による奉納舞を観て改めて日本文化に対する誇りと愛着を感じたという意見をいただいた。

神道文化入門講座
 日米人を集めて活発化

  ISFが毎月開催している神道文化入門講座は、8月26日に「神道の死生観〜神葬祭を中心に〜」、9月28日には「日本のお土産文化と神道の関わり」をテーマに開催された。
 8月の講師は、元ISF主任で現在は京都上賀茂神社権禰宜の乾光孝氏。参加者は25人ほどで、乾氏は神葬祭の順序と内容、その起源や神道における死生観を分かりやすく説明。神道式葬儀が日本人にとっても意外に認識が浅く、またちょうどお盆の時期ということもあり、神道における死後の世界観や敬神崇祖についての話は、参加者の関心を引いた。
 9月の講師は、現在ISFで活躍している太田垣亘世オフィサー。前職の客室乗務員で、外国籍の同僚から日本人客のもつお土産の多さを指摘され、なぜかという疑問を抱いてきたという。太田垣オフィサーは、「お土産」の語源から始まり、日本人は個人よりも「皆」を意識してお土産を選ぶようだ。これも古代から受け継がれてきている共同社会への配慮の名残であり、現在も日本人の生活の根幹にあるものではないか。しかし、現在の国際化社会の中では、日本人のもつお土産にたいする意識が日本人相手に商売をする外国人たちに利用されてトラブルに繋がるケースもよく耳にする。海外に住んでいると忘れがちな自国文化に対する認識と、それが良いものであれば変わらずに受け継がれるようにというメッセージを伝え話しを終えた。


※写真、今後の予定などは ISFホームページに掲載。



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