神道国際学会会報:神道フォーラム掲載 |
話題のこの人
: 土佐谷利穂さん 「浦安の舞」の感想文が教科書に載った中学一年生 |
静かな港町に大きな喜びもたらす “ 氏神さん”の例大祭で神楽舞を舞った感想をつづった作文が、この四月から使われる「国語〈小学校五年〉」の教科書に載ることになった。 小学五年で奉納舞台に立った少女も今は中学一年生。載るかもしれないと聞かされてからだいぶ経つ。 「最初に先生に言われたときは何がなんだか分からなかった。そのあと一年ぐらい忘れていたから、うれしかった」と静かに喜ぶ利穂さんだが、小さな町の驚きと喜びは大きい。 山地がせまる海岸の街道沿いに細長く延びる静岡県沼津市の江浦集落。駿河湾の奥の奥、波静かな港の町だ。 舞台となった“氏神さん”住吉神社の土佐谷惇宮司は「暗い話が多い中、地域にとっても良い話題」と声を弾ませる。利穂さんは同宮司の遠縁にあたる。 住吉神社では毎年の例祭と四年に一度の例大祭で地元小学校の五、六年生の女の子が神前で「浦安の舞」を舞う。五年生は「扇」を受け持ち、「剣鈴」を舞う六年生の姿を見て一年後の自分を心に思い描く。 舞台に向けて練習を指導するのは土佐谷宮司の夫人、秀子さん。平和への祈りを込めた御製の歌詞にあるごとく、波のない穏やかな朝凪の海を表現するよう教える。 「練習は楽しかった。でもお祭りのときには街中の人が見に来ていて緊張した」とはにかむ。そのそばで宮司夫妻は「やることをキチッと覚えようとする前向きで活発な子。何に対しても一所懸命なんです」と口をそろえ、一年一年と成長していく少女に目を細める。 作文では舞台での緊張と不安、練習の成果を出し切ったあとのすがすがしい満足感を素直に書いた。 今は卓球の部活に、剣道の教室に―と風を切って走る少女が、波穏やかな静かな港町にさわやかな話題を振りまいている。 |
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