神道国際学会会報:神道フォーラム掲載 |
神道展示館訪問 : 真清田神社 宝物館 |
歴史ある真清田の舞楽 鎌倉期の秀逸な舞楽面を収蔵 木曽川沿いにどこまでも広がる水田。清く澄んだ水流の恩恵に浴したところに「真清田」の社名の由来がある。御祭神の天火明命は、やがて国名となった尾張氏の祖神とされ、当地方の隆昌を導いた。その御神徳は木曽川の流れのごとく清らかに澄みわたるという。 「延喜式神名帳」で名神大社に列せられ、尾張国の一の宮として尊崇を集めてきた。尾張藩藩主である尾張徳川家も代々篤い崇敬を寄せた。 ◇ 毎年4月29日、真清田神社では舞楽神事が執り行なわれ、数々の演目が奉納される。「真清田神社縁起」には「楽家数十家」とあり、古くから舞楽や神楽にゆかりが深いことがわかる。 古代の大嘗祭で舞われた「久米舞」が文政元年(1818)、仁孝天皇の大嘗祭で復興したが、これは当社社家である三之権林家の烏帽子箱から「久米舞」の譜面が発見されたことが契機だったそうだ。まさに当社の舞楽が稀有の伝統を有することをうかがわせる出来事である。 宝物館には、歴史的に価値の高い舞楽面が保存されている。「陵王」をはじめ、尉(老爺)・姥(老婆)一組の「二ノ舞」、鳥を擬した尖った口ばしの「崑崙八仙(ころばせ)」、「貴徳(きとく)」、「童舞」など、国重文に指定される十二面が残っている。順徳天皇の献納によるものが中心で、鎌倉時代から南北朝時代に調進されたと伝えられる秀逸品である。 ◇ ほかにも同館には、神饌具である「御膳台盤」(朱漆塗り角切盤、朱漆塗り入角盤、根来塗り)20枚、甘杯器(ゆするつき)といわれる「朱漆フ子(しゅっしつけいし)」5枚、「銅碗・銅皿22枚が収められており、いずれも国重文になっている。 彫刻・工芸・絵図・史料など社宝の数々も展示する。例大祭「桃花祭」における神幸行列で氏子区域から出される馬を飾る荘厳・華麗な馬道具も見所だ。
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