神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
読者からのお便り

少年・柳田国男が遊んだ
鈴の森神社(兵庫・辻川)


 柳田國男の生まれ故郷、兵庫県福崎町の通称辻川界隈≠歩いてきました。「私の家は日本一小さい家だ」という生家と記念館、入り込んでは蔵書を読み耽った近所の大庄屋「三木屋」、ほか薬師堂、高森稲荷、地蔵堂、市川の流れに突き出した駒ヶ岩など、ほとんど駆け足でしたが、『故郷70年』に出てくるところをめぐり、古い建物の残る落ち着いた町の様子を感じることができました。
もちろん、鈴の森神社にもお参りしました。「神隠しの話が生まれるのに都合よくできていた」(『故郷70年』)という鈴の森神社は丘陵の斜面にあり、柳田が「うぶすなの 森の山もも こま狗は なつかしきかな もの言わねども」と詠ったヤマモモの巨木など、うっそうとした森に囲まれて鎮まっていました。
それでも境内は広々として、沈鬱な感じはありませんでした。ご祭神はニニギノミコト、アメノコヤネノミコトなど。「鈴(すず)」とは聖地のことで、播磨の神々が集ったところだそうです。拝殿には常盤御前の都落の図の大絵馬や、柳田と一家の肖像画が掛かり、本殿正面の両脇には御神像なのか、結構古そうな御像が二体祀られていました。
 柳田がのちに常民とは異なった山人論などを展開したときの原点が、ここで感じた神隠しの話にあるのかもしれないと感慨を覚えながら参道を降りました。
 (千葉・TS)



出雲大社東京分祀訪問 (港区六本木)

  多くの若者たちで賑わう六本木交差点の程近くにご鎮座するのが、出雲大社東京分祀です。
   「だいこくさま」で親しまれる大国主大神をお祀りする出雲大社の都内唯一の分祀として、明治11年に千代田区・神田神社内に設けられた東京出張所に始まり、明治22年には現在の場所に移転されました。
    ご社殿はモダンな外観。一礼して注連縄をくぐり、階段をひとつずつ上がっていくと、不思議と喧騒が遠ざかってゆき、ご本殿の前は涼やかで幽静な雰囲気に包まれています。
 手水舎と祓社で身を清め、独特の二礼四拍手一礼で参拝すると心まで静穏に満たされ、ここが大都会のただ中であることも、思わず忘れてしまいます。
ビルの谷間から見える青空を背景に並んだ可愛らしい縁結びの絵馬。丸っこい字でたくさんの願い事が書かれたそこには、都会らしさとともに微笑ましい趣きがありました。
 (東京・MF)




上野の森でマークエステル展

 5月15日から19日まで、東京・上野の森美術館で、マークエステル・スキャルシャフィキ氏による美術展「日本神話 by Marcestel」が開催された。
 マークエステル氏は、伊勢の神宮にブロンズ像を奉納したり古事記シリーズの画集を刊行したりして、一昨年には神道文化会より文化奨励賞を受賞しているフランスの画家。外交官時代に来日して以来日本に魅せられ、日本神話を題材とした作品を次々と発表して話題を呼んだ。大きな作品に流れるその大胆な色使いと筆力には見る人を圧倒する力がある。
 今回の美術展のためフランスなどから約百点の大作を運んだという主催のNPO法人横浜すみれ会の井上寿美子理事長は、「外国人が描いた古事記の世界。日本を見直すために親子で見てもらいたくて開催した」と語っていた。写真は展覧会場で本にサインをするマークエステル氏。




 神道フォーラムをお送りいただきありがとうございました。拝読して、神道の現況がよくわかりよい勉強になりました。「日本美の基調―清浄さは崇高さ」のお話に感銘、「ISF便り」には、外国人には神道を理解するのが難しいのではないかと思っていたので、アメリカ人の中でも神道への興味が高まっているとの話で意外でした。「伊勢街道を歩く」では、街道が近代的に変化すればするほど、変わらぬ姿の神宮の崇高さが際立つとの内容になるほどと思いました。 (TK)

 神道フォーラムを送っていただき、ありがとうございます。会員でもないのに甲南大学でのセミナーに参加したというだけで、セミナーの報告を掲載したフォーラムを送ってくださる御会の律儀さに感心しました。(HM)


Copyright(C) 2007 SKG all rights reserved
当ウェブサイト内の文章および画像の無断使用・転載を禁止します。