神道国際学会会報:神道フォーラム掲載
伊勢本街道を歩く (4)  初瀬
吉井貞俊氏
(西宮文化協会会長)

    伊勢への街道を歩いてゆく時、実のところ著名な名所旧蹟が道添いにあるのに立ち寄ることをしないが、この長谷寺のみは例外的な存在となっている。
正午になると毎日懸崖風になった楼上からほら貝が吹き鳴される。それが遠方にまで鳴り響くか、響かないかなどの事に関わりなく生のまま拡声機など使わず昔のまま行われている。この床しい風習は果たしていつまで続く事であろうか。今まで都合三回にわたって正遷宮ごとに街道歩きをしているが、これからいかに変化してゆくか、正遷宮は伊勢の大典としてこれからも永く斎行されてゆくであろうが、この街道歩きも、その都度行ない、その変化を記録してゆけば、ただ單に伊勢の範囲に留まらず、大阪からという広域の社会現象として見なされてくるかも知れぬ。今まで3回続けて来たこの作業、将来生かすために誰方かひき続いて実行して下さる方はいないかと待つこと切である。
                

(絵・文とも吉井貞俊:絵は本誌に掲載)

 本会会員吉井貞俊氏は現在、兵庫県西宮市に在住し、西宮文化協会会長をしているが、もともと伊勢の出身で、猿田彦神社の社家である宇治土公家に出生した方。氏はその因縁をもって、昭和48年の第60回正遷宮の際、大阪から伊勢まで伊勢参宮本街道を踏破し、さらに平成5年の61回の時にも同じ道筋を歩いたと聞いている。
 そして現在、次回の正遷宮を目ざして、3回目の本街道歩きを始めたとのこと。

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