犠牲者を悼み慰霊祭 同時多発テロ7年目に
世界を震撼させた同時多発テロから今年で7年目を迎える。9月11日、NY市グラウンドゼロ近くのハドソンリバー桟橋で、犠牲者を偲ぶ追悼式が行われた。NY本願寺主宰、宗際センターの協賛であるこの式典には、各宗教のリーダーが集まり、各宗教からの祈りを犠牲者の魂に捧げた。
会場には多様な文化・宗教をもつ人々が奉仕・参列するというNYならではの式典であったが、それぞれの祈りの一時は心を一つにして、世界の平和を強く願った。ISFからは太田垣オフィサーが追悼・慰霊のスピーチを述べ、平和祈願の祝詞を奏上した。アーティストによる世界平和を希求する音楽演奏に続き、グラウンドゼロからのメモリアルライトを背に、犠牲者の御霊を鎮める灯篭が人々の手によりハドソン川に流された。灯篭が川面に浮かぶ光景はとても幻想的であり、その後灯篭は当時の惨事に対する人々の様々な思いを慰めるかのように流れていった。
講座「神道と食文化」 「なっとうや」の浅沼氏を招いて
9月17日、NYセンターにおいて9月度の「神道入門講座」が開催された。今月はNYで納豆を作りデリバリーサービス業を営む「なっとうや」オーナーの浅沼ひでじ氏をゲストスピーカーとしてお招きし、日本食と日本人の精神性についてお話しいただいた。参加者は15人。
まず太田垣オフィサーが、御神前にお供えする御神饌の内容や由来について説明し、日本人のいう「もったいない」という精神文化は神道からきていること、現在でもその精神が根底に流れているため、日本食の文化にはユニークな点が数多くあると話した。
続いて浅沼氏は、日本食の物質的・精神的特長を説明し、その上で他国の食事との違いや日本人の食生活に見る感謝の気持ちという観点から日本食の存在について楽しく講義された。参加者の方々からは、日常的な日本食なのに初めて知ったことも多く、非常にためになったと喜びの声があがった。
食事をする際「おいしいから食べる」だけではなく、「身体のために無駄なく食べる」という古来の日本人の食における精神の大切さを考えさせられる浅沼氏の講義だった。
NYセンターで献茶式
10月1日、NYセンターで三千家の一つ武者小路千家の千宗屋若宗匠による献茶式が執り行われた。
千宗屋氏は文化庁の文化交流使として、今年の7月より一年間の予定でNYに赴任され、茶道を通じて海外における日本文化普及活動に努められている。同氏は僧籍を有する所謂「お坊さん」でもあるが、神仏両方を敬う和の心でもって、この度NYセンターの御祭神の御前にお茶を賜ることになったものである。
太田垣オフィサーの修祓に続いて行なわれた献茶式では、若宗匠の凛とした姿勢や所作、微音や香りが場の空気を清め、NYセンターを会場として武者小路流の茶道を学んでいる約20人の生徒たちは、この機会を逃すまいと全神経を集めて若宗匠の一挙一動をみつめていた。
献茶式により改めて日本文化の気高い精神性を認識した参列者たちは、様々な文化の交差する現代のNYにおいて、誇るべき日本文化の神髄を紹介していくことの重要性を実感していた。
アトランタで安全祈願祭
10月2日、太田垣オフィサーは、ジョージア州アトランタ市にあるリコーエレクトロニクス社に招かれて、工場及び社内の安全発展祈願祭を執行した。
広大な工場内にしつらえられた祭壇の前には、アメリカ人を含む約二十名が参列、建築から10年程過ぎた工場内を改めてお祓いし、参列者全員が心を合わせて安全を祈念した。
同社はアメリカでは本格的な神道祭儀を挙行するのは困難だと思っていたが、NYにISFが存在することを知り、連絡。そこから今回の祭儀が実現したもの。式後は神職を招いてきちんとした形で御神前にご奉告でき、清々しい気持ちになれたと感謝されていた。
斎主をつとめた太田垣オフィサーは、日本企業や日本社会のあるところには、神道は必要とされていることや、世界じゅうどこでも伝統を重んじる日本人の感性の美しさを改めて感じた、と述べた。
※写真、今後の予定などは ISFホームページに掲載。
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