神道国際学会会報:神道フォーラム掲載 |
神道展示館訪問 : 湊川神社宝物殿 |
大楠公ゆかりの 武具・工芸・書画など 至誠貫く「楠公精神」を仰いで多くの人々から崇敬されてきた湊川神社。後醍醐天皇の勅を奉じ、激戦の末、ここ湊川の地に散った楠木正成公を祀る。港町・神戸の中心に位置し、神戸駅前の緑豊かな森に清く静かな佇まいの神社。かつて尼崎藩主が代々厚い崇敬をもって守られてきた大楠公の御墓所は、徳川光圀が筆を執った「嗚呼忠臣楠子之墓」の建碑とともに、明治維新実現へ奔走する志士達によって篤く尊崇されたのであった。 現在境内にある宝物殿は地元の篤志家によって昭和三十八年に開館。鎧や刀剣などの武具類、書画・工芸・史資料など、楠公ゆかりの貴重な宝物を多く収蔵、展示する。 大楠公所用とされる「段威腹巻」(国重文)や「卯花威胴丸」「大黒頭巾形兜」、陣頭の旗印である「非理法権天旗」などは往時の激戦の様相を髣髴とさせる。 〈鎮宅霊符神、建武元、八月日、楠正成〉と鋳られた「鎮宅銅鈴」「鎮宅神符」「鎮宅霊符神鏡」、また、大楠公御真筆の「法華経奥書」(国重文)などは、大楠公の偉大な精神性を垣間見る貴重な資料である。「法華経奥書」は、建武中興が成ったとき、祈願成就への報恩で写経を奉献するというもの。御真筆のうち楷書では唯一のものという。 館内には、楠公の生涯をジオラマでたどる「大楠公御一代記」もあり、その御生涯を容易に理解できて楽しい。さらには横山大観の画「大楠公像」、平櫛田中の彫刻「大楠公像」、神社ゆかりの墨跡や揮毫なども並ぶ。同神社には棟方志功の奉納作品が数多くあり、宝物殿には「御楠樹の図」も展示されている。 ▼住所=神戸市中央区多聞通3-1-1 ▼電話=078(371)0001 ▼開館時間=9時半から16時半 ▼木曜休館 ▼拝観料=大人300円、大高生200円、中小生100円 |
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