神道国際学会会報:神道フォーラム掲載 |
日々雑感 :梅田善美理事長 |
国連登録NGOのさまざまな活動に参画している中で、感じていることがある。 国連が創立されてから今年はちょうど60周年にあたるので、いろいろと機構的な問題も起きており、組織上の改革が要請されている。なかでも、安全保障理事会の改組にともなう常任理事国の増加が最近の日本のマスコミでも大きくとりあげられ、日本政府はなんとかその実現にむかって、国連加盟国に働きかけている。しかし、それぞれの加盟国には国益が絡んでいるので、おいそれとは日本の呼びかけに同調してくれないようである。韓 国や中国で起きた反日デモでもそれがスローガンのひとつになっている。 国連は2015年までに達成すべき次のような8項目のミレニアム開発目標(MDG)を設定して、国連の加盟国に優先課題として実務的な支援活動を行うよう求めている。 〔1〕極端な貧困と飢餓の半減(1日1ドル未満で暮らす人々が12億人もいる。それを半減させる目標)、〔2〕初等教育の完全普及(1億1300万人の子供たちが学校に通っていない)、〔3〕女性のエンパワーメントと男女平等の促進(世界の非識字人口の三分の二は女性であり、難民の80%は女性と子供)、〔4〕五歳未満の死亡率の低下(毎年、1100万人の幼児が命を失っている)、〔5〕妊産婦死亡率の低下(開発途上地域では、出産時に死亡する確率が48件に1件)、〔6〕エイズとマラリア等致死病の蔓延の逆転(これらの病気は、1世代分の開発の前進を消し去った)、〔7〕環境の持続可能性の確保(十億人を超える人々が依然として安全な飲料水を利用できない)、〔8〕グローバル・パートナーシップの構築(債務返済の支出が社会サービス支出を上回る開発途上国があまりにも多い)。 私は、日本政府がこれらの事実を直視して、問題の多いODAをこれらのミレニアム開発目標達成に活用してもらうことを期待したい。そうすれば、日本の国際的な評価は確実に上昇するにちがいない。 (梅田善美) |
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