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神道国際学会理事の「ホットな近況から」 マイケル・パイ 理事 |
宗教生活を支える基盤に目を向ける 文献だけでは分からない――社寺や山を自ら巡り 「町に出て、人に会えば何かがある。宗教学者に休みはありません」 諸宗教間対話のコーディネートも 比較宗教学、そして日本の宗教を専攻するが、世界各地の宗教現場でフィールドワークを重ねた経験を活かして、諸宗教間対話の場作りにも意を傾けてきた。 「もちろん宗教学者の仕事は客観的な宗教研究です。でも学者からの示唆と仲介で宗教指導者に集まってもらい、我々が世界のさまざまな問題の解決にお手伝できるなら、こんな嬉しいことはありません」 ある仏教宗派の指導者とキリスト教神学者の対話や、ローマ・グレゴリアン大学と天理大学の学者によるシンポ、さらには、研究で滞在したことのあるインドネシアでの、同国に混在する諸宗教の平和会議……。顔を突き合わせて言葉を交わすことで止まった車輪も動き出すという確信のもと、コーディネートに奔走した。 「信仰は違っても、地球環境や生命倫理など共通に抱える問題はたくさんある。対立よりも理解と解決を見つける道のほうがはるかに大事ですよ」 3年間の予定で大谷大学(京都市)の客員教授を務める現在、日本人の信仰を研究するなかで神道諸団体や神社の要職らと交流することも多い。宗教対話の促進という点からも「神道の中央組織はもちろん、各地の大社の責任者たちが積極的に対話に加わるといいと思います」。 とくに意見の食い違いの散見される日本とアジアとの関係――。「立場の違うもの同士、互いをどう認めるかは難しいことだが、対話としてはそのほうが大事だし、興味深い。未来を見つめていくため、お互いに参考になるのでは」とアドバイスをおくっている。 ◇ ◇ イギリス生まれ、ケンブリッジ大卒。同国の大学で教鞭に立ち、ランカスター大学教授からドイツのマールブルク大学教授へ。そして昨年から大谷大学の客員教授。「真宗にこだわらなくていいと言っていただき、広く日本の宗教について研究させてもらっています」 真宗や神道に関する著書・論文も多いが、今はまさに現代の、日本人の宗教生活や日本人の内面を支える宗教的基盤に分析の目を向ける。 「その一つとして、根強く残っている『巡礼』という現象に興味を持っています。年中行事や人生儀礼もそうですが、『お巡り』にも単に仏教とか神道では割り切れない日本人の信仰や生活の基盤要素が染み込んでいます」 感謝の心、先祖供養、自然との和合――文献だけでは分からない日本人の一般的な価値観を探るため、自身も大学の講義に並行して社寺や野山を巡り歩く日々を送っている。 特に滞在中の京都は寺社の町。研究対象には事欠かない。「古い町だけど、歴史が現代に生きている。妻と二人、自転車で走り回っています」。日常が研究に直結する。 「町に出ても、人に会っても、何かがある。まあ、宗教学者に休みはないかもしれませんね」。古都での研究生活を心底、満喫しているように見えた。 |
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